象牙は象の切歯のことです。ヨーロッパにおいては、旧石器時代にはすでに象牙の加工がはじめられ、道具として使われていました。日本でも象牙の歴史は古く、根付・箸・工芸品などの素材として用いられることとなり、それ以来長きにわたり愛され続けています。
しかし1992年に制定された「種の保存法」に基づき、象牙の流通量は制限され、厳しい管理の下でのみ輸入することが許されている貴重な素材なのです。
主に鉱物の硬さをあらわす数値でモース硬度という尺度があります。身近な物ではダイヤモンドが10、銅製の硬貨が3.5という数値になっています。象牙のモース硬度は2.5と加工しやすく、繊細で細かい彫刻を施すことが可能なうえに、耐久性にも優れています。さらに乾燥に強く、耐摩耗性も備えているため、とても理想的な印材だといえるのです。
また、朱肉の吸着性も良いので、象牙の印鑑がつくり出す印影はとても美しく、まさに一生ものとしてふさわしいはんこになります。
象牙には美しいツヤと色合いがあり、使い込むほどに深みが増してゆく素材です。その手触りの良さと希少価値の高さから、象牙は最高級印材の地位についています。